助成金のノウハウ
2023.11.14
人材開発支援助成金「人材育成支援コース」の活用法を社労士が解説!
こんにちは。
グロウライフ社会保険労務士法人 労務コンサルタントの竹田です。
本記事では、人材育成に関する負担を軽減したいと考える経営者や人事担当者の方に向けて、「人材開発支援助成金 人材育成支援コース」の活用方法を詳しく解説します。
この助成金を活用することで、次のような課題解決が可能です:
– 資格取得の支援や社内研修の実施に関する負担の削減
– 従業員のスキルアップを支援するeラーニングや通信制訓練の導入
特に本記事では以下のポイントを重視して解説します:
– 人材育成支援コースの概要と支給要件
– 具体的な手続きの流れと提出を求められる書類
助成金専門の社労士事務所であるグロウライフが、日々、助成金申請を代行している知見をもとに解説しますので、ぜひ参考にしてください。助成金を活用して、人件費の負担軽減を実現しましょう。
01 人材開発支援助成金「人材育成支援コース」の概要
令和5年4月より、人材開発支援助成金の「特定訓練コース・一般訓練コース・特別育成訓練コース」の3コースが統合され、「人材育成支援コース」が創設されました。
この一本化により、雇用形態にかかわらず訓練の受講が可能(有期実習型訓練を除く)となり、OFF-JTの最低訓練時間は10時間以上に統一されました。
このタイミングで、生産性要件が廃止され、「賃金要件」「資格等手当要件」が追加されました。
賃金要件と資格等手当要件のいずれかの基準を満たした場合は、訓練経費に加算が支給されることになっています。
1.1 人材育成訓練コースとは
職場での業務に関連した、専門的な知識や技能を習得させる訓練を計画に従って実施した場合、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部などが助成されます。
■対象となる訓練方式
①人材育成訓練 職務に関連した知識・技能を習得させるための10時間以上の訓練 |
●OFF-JTにより行われる訓練 事業活動とは別に、座学などを通じて実施する訓練で、事業内訓練または事業外訓練として計画する必要があります。 |
② 認定実習併用職業訓練 厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練 ③ 有期実習型訓練 |
●OJTとOFF-JTを効果的に組み合わせて実施する訓練
※②は、実習併用職業訓練として厚生労働大臣の認定を事前に受けている必要があります。 |
1.2 eラーニングと通信制訓練について
1)eラーニングとは?
コンピュータなどの情報通信技術を利用した遠隔講義や遠隔教育は、訓練の受講状況を管理するためのシステムによって進捗管理が可能なものとなります。
2)通信制とは?
郵送などを通じて、一定の教育計画に基づいて教材や補助教材などを受講者に提供し、必要な指導者が設問回答、添削指導、質疑応答などを行うものを指します。
3)eラーニングと通信制訓練
eラーニングや通信制による訓練も、人材開発支援助成金の助成対象となります。訓練を実施する場合、各訓練メニューの要件に加えて、以下の要件を満たす必要があります。
● 標準学習時間が10時間以上または標準学習期間が1ヵ月以上であること ● 1訓練あたりの経費が分からない定額制サービスによるものではないこと ●仕事に必要な知識や技能を習得することを目的としており、特定の事業主に提供することを目的としていないこと |
02 「人材育成支援コース」基本要件と助成額
人材育成支援コースの「対象となる事業主や労働者・対象となる訓練や経費・助成金額」などについて解説します。
2.1 対象となる事業主
人材開発支援助成金を受給できるのは、以下に該当する事業主となります。
1)人材育成訓練・認定実習併用職業訓練
被保険者(有期契約労働者等を除く)を対象とする訓練の場合
2)人材育成訓練・認定実習併用職業訓練
有期契約労働者等を対象とする訓練(有期実習型訓練を除く)の場合
3)有期実習型訓練の場合
2.2 対象となる労働者
人材開発支援助成金「人材育成支援コース」の支給対象となる労働者は、下記のすべての要件を満たす必要があります。育児休業の者に対する訓練の場合は、育児休業期間中に訓練を開始する必要があります。
2.3 対象となる訓練
①対象となるOFF-JT
以下のいずれかにより実施されるOFF-JTが対象となります。計画通りに実施されていることなどが必要です。別途、対象とならないOFF-JTもありますので、詳細は手引きなどでご確認ください。
②対象となるOJT
2.4 対象となる経費・賃金
1)対象となる経費
事業主がOFF-JTを実施した場合に支給対象となる経費は、下記の通りです。なお、支給申請までに対象経費の全額を申請事業主が、負担していることがわかる書類が必須です。従業員などに負担させた場合は、助成金は支給されません。
2)対象となる賃金
訓練期間中の所定労働時間内の賃金について、賃金助成の対象となります。 |
ただし、所定労働時間外・所定休日(あらかじめ別日に所定休日を振り替えた場合は除く)に実施した訓練は対象外です。またeラーニングによる訓練等、通信制による訓練等、育児休業中の訓練および事業主団体等が実施する訓練は、賃金助成は対象外です。
2.5 助成額・助成率・支給限度額
1)助成額・助成率
参考:厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」
2)支給限度額
①経費助成限度額(1人当たり)
1人1職業訓練実施計画届あたりのOFF-JTにかかる経費助成の限度額は、実訓練時間数に応じて下表のとおりです。
②賃金助成限度額(1人1訓練当たり)
1,200時間が限度時間となります。ただし、専門実践教育訓練については1,600時間が限度時間となります。
③支給に関する制限
●訓練等受講回数の制限
助成対象となる訓練等の受講回数は、1労働者につき1年度で3回までです。
※有期実習型訓練は、同一の事業主が同一の労働者に対して1回までです。
※認定実習併用職業訓練および有期実習型訓練において、付加的にeラーニングによる訓練等および通信制による訓練等を実施する場合は、認定を受けた訓練と内容に連続性があり一連のものである場合には、一つの人材育成支援コースとして取り扱い受講回数も1回でカウントします。
●1事業所・1事業主団体等の支給額の制限
1事業所または1事業主団体等が1年度に受給できる助成額は、1,000万円が限度額となります。
03 「人材育成支援コース」手続きの流れ
人材育成支援コースの手続きの流れについて解説します。
3.1 訓練計画の提出~支給申請書の提出
人材開発支援助成金の申請の流れは、以下のようになります。各コースによって、異なる部分もありますので、詳細は公式ホームページなどでご確認ください。ここでは、「人材育成支援コース」の申請の流れを紹介します。
参考:厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」
3.2 申請書の提出期限
①職業訓練実施計画届(様式第1-1号)
訓練開始日から起算して1ヵ月前までに、所定の必要書類を提出する必要があります。
② 職業訓練実施計画変更届(様式第2-1号)
■「事前に届出が必要な変更事由」により変更が生じる場合
当初計画(変更前の計画)していた訓練実施予定日、もしくは変更後の訓練実施日の、いずれか早い方の日の前日までに提出が必要です。
例) ●5月15日に計画していた訓練を5月20日に変更する場合 → 5月14日までが期限 ●5月10日に計画していた訓練を5月13日に変更する場合 → 5月12日までが期限 |
■対象労働者の病気・けが、天災等のやむを得ない理由により変更が生じた場合
変更後の訓練実施日の翌日から7日以内に、やむを得ない理由を記した書面と変更届と、変更に関する書類を添付して提出します。
③支給申請書(様式第4号)
訓練終了日の翌日から起算して2ヵ月以内に、必要書類を提出します。期限厳守となっており、過ぎてしまうと助成金がもらえなくなりますので、十分にご注意ください。
④賃金要件・資格等手当要件を満たした場合の追加支給申請(様式第4号)
全ての対象労働者に対して、要件を満たす賃金または資格等手当を3ヵ月継続して支払った日の翌日から起算して、5ヵ月以内に必要書類を提出します(割増し助成分のみの申請)。
04 「人材育成支援コース」必要な提出書類
「人材育成支援コース」の提出書類について解説します。書類の提出は、「訓練計画の届出時」と「支給申請の届出時」の2回ありますので、それぞれで必要な書類を把握しておきましょう。
4.1 訓練計画の届出時
人材開発支援助成金「人材育成支援コース」訓練計画の届出時の主な提出書類は、以下のようになります。
①共通して必要となる書類
②各訓練の実施方法がeラーニング等である場合の提出書類
③対象労働者が育児休業中の者である場合
育児休業中の者に対して訓練を実施する場合 |
□育児休業中に訓練の受講を開始することが分かる書類(育児休業申出書(写)等) |
④各訓練メニューで必要な書類
4.2 支給申請の届出時
①各訓練メニューに共通して必要となる書類
②有期契約労働者等を正規雇用労働者等へ転換等した場合に必要な書類(人材育成訓練・有期実習型訓練の場合)
③各訓練メニューに必要な書類
④一般教育訓練等の指定講座の訓練を実施した場合の提出書類
⑤対象労働者が育児休業中の者である場合
⑥各訓練の実施方法がeラーニング等である場合の提出書類
⑦賃金要件・資格等手当要件を満たした場合に必要な書類
05 まとめ|人材開発支援助成金「人材育成支援コース」
この記事では、「人材開発支援助成金 人材育成支援コース」について詳しく解説しました。企業の人材育成を強化し、資格取得や訓練の受講費用を削減したいという経営者や人事担当者の方々にとって、この助成金の活用は非常に効果的です。
重要なポイントは以下の通りです:
– 令和5年4月より要件がかなり緩和されている
– eラーニングと通信制訓練の受講でも申請が可能
– 1労働者につき1年度で3回まで申請可能
– 1事業所につき1年度に1,000万円まで受給可能
この国から支給される返済不要の支援金は、企業の成長を強力にサポートしてくれますので、積極的に受給されることをおすすめします。
助成金の申請は、年々難易度が高まっており、専門家のサポートが不可欠な取り組みとなってきています。グロウライフ社会保険労務士法人では、助成金の無料相談を随時、受け付けておりますので、ぜひ、お困りの方は無料相談を利用して専門家のアドバイスを受けてみてください。
ディスクリプション:
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