助成金のノウハウ
2026.03.18
【2025最新】特定求職者雇用開発助成金とは?ハロワ採用で最大240万円!要件・コース別金額と「不支給」の罠を社労士が解説
こんにちは。グロウライフ社会保険労務士法人 労務コンサルタントの竹田です。
本記事では、特定求職者雇用開発助成金の一つである「特定就職困難者コース」に焦点を当て、その申請方法から注意点までを徹底解説します。
特定求職者雇用開発助成金の特定就職困難者コースを活用することで、事業主は優秀な人材を確保するとともに人件費の負担を軽減することが可能となり、多様な人材を採用する際に大きなメリットがあります。しかし、助成金の申請には独自のルールと手続きが存在します。
これらのポイントを抑えることで、助成金申請の成功確率が格段に高まります。特に、支給要件や手続きの段取りが頻繁に見直されるため、最新の情報を得ることが重要です。令和5年度の変更点なども含めて、詳細に説明していきます。
助成金専門の社労士事務所であるグロウライフが、日々、助成金申請を代行している知見をもとに解説しますので、ぜひ参考にしてください。助成金を活用して、人件費の負担軽減を実現しましょう。
この記事でわかること
- ハローワーク経由の採用で最大240万円を受け取る具体的な方法
- 全5コースの支給額・対象者と、自社に合ったコースの選び方
- ハローワーク任せで「不支給」になる3つの罠と、その回避策
1. なぜ今、特開金が中小企業の採用戦略に必要なのか
【章頭の3行まとめ】
- 人材紹介会社の手数料は年収の30%以上。一方、ハローワーク経由なら最大240万円の助成金が収入になる。
- 対象は「60歳以上」「シングルマザー」「就職氷河期世代」など、能力はあるが敬遠されがちな層。
- 週20時間以上のパート・アルバイトでも対象。正社員採用の体力がない企業も活用可能。
人手不足倒産が過去最多ペースで推移する2026年現在、中小企業にとって「採用」は経営の生命線です。しかし、大手求人サイトに掲載しても応募はなく、人材紹介会社を使えば高額な手数料が発生する……そんな状況を打破する切り札が、特定求職者雇用開発助成金(特開金)です。これは単なる「弱者救済」の制度ではありません。賢い経営者が実践している「財務戦略」兼「人材確保戦略」なのです。
理由1:採用コスト「0円」で最大240万円のキャッシュ確保
通常、即戦力を採用しようと人材紹介会社を利用すると、理論年収の30〜35%程度の手数料が発生します。一方、ハローワーク経由で本助成金の対象者を採用した場合、紹介手数料は「0円」。それどころか、国から助成金が支給されます。
【比較シミュレーション:年収350万円の人材を1名採用した場合】
| 項目 | 民間人材紹介会社 | ハローワーク活用(特開金対象) |
|---|---|---|
| 採用コスト(支出) | ▲ 1,050,000円 (年収の30%と仮定) |
0円 |
| 助成金受給(収入) | 0円 | + 600,000円 (特定就職困難者コース・60歳以上の場合) |
| 最終的な収支差 | ▲ 105万円 | + 60万円 |
その差は歴然としており、実質的な経済効果は165万円以上になります。もし重度障害者等を雇用した場合、受給額は最大240万円に跳ね上がります。この資金を、採用した人材の教育費や既存社員の昇給原資に回すことで、組織全体を強化できるのです。
理由2:人手不足を救う「未活用人材」のポテンシャル
「就職困難者」という名称から、「能力が低いのでは?」と不安を感じる経営者様もいらっしゃるかもしれません。しかし、それは大きな誤解です。
本助成金の対象となるのは、以下のような方々です。
- 60歳以上のシニア層:長年の業務経験や専門知識を持ち、即戦力として期待できるベテラン。
- 母子家庭の母(シングルマザー):子育てと仕事を両立させるため、安定した雇用を強く望んでおり、高い定着率が期待できる層。
- 就職氷河期世代:能力がありながら時代のせいで正規雇用の機会を逃した、ポテンシャルの塊である30代後半〜50代。
これらの方々は、労働市場において「年齢」や「家庭環境」を理由に敬遠されがちです。だからこそ、競合他社との奪い合いになりにくく、採用しやすいというメリットがあります。「あえて」ここをターゲットにすることで、優秀な人材を確保できる可能性が高まります。
理由3:パート・アルバイト(週20時間〜)も対象になる柔軟性
「うちは正社員を雇う体力がない」という企業でも問題ありません。特定求職者雇用開発助成金は、フルタイムだけでなく、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の「短時間労働者」も支給対象となります。
- 飲食店のランチタイム(1日4時間×週5日)
- 事務職のパートタイム(1日5時間×週4日)
- 介護施設の早朝・夕方専従スタッフ
このように、シフト制の職場や短時間勤務が中心の業種でも活用可能です。支給額こそフルタイム(一般労働者)よりは下がりますが、それでも数十万円の助成金は経営にとって大きな支えとなります。
2. 特開金の全体像と絶対ルール

【章頭の3行まとめ】
- 本助成金は「就職困難者」を雇い入れ、継続雇用する事業主を支援する制度。
- 絶対条件:ハローワーク等の「紹介状」がないと1円も支給されない。
- 解雇歴・労働保険料の滞納・過去の不正受給がある企業は受給不可。
特定求職者雇用開発助成金は、国の雇用政策の根幹をなす制度です。その目的はシンプルで、「就職が難しい方を雇い入れ、継続して雇用する事業主を助成すること」にあります。しかし、単に「対象者を雇えばもらえる」という甘い制度ではありません。実は、申請者の多くが「採用ルートの間違い」や「過去の解雇歴」によって、受給資格を失っています。
そもそもどんな制度?「就職困難者」の定義
この助成金における「就職困難者」とは、能力が低い人のことではありません。「社会的な事情により、就職活動で不利になりがちな人」を指します。
具体的には、以下の属性を持つ求職者が対象となります。
- 高年齢者(60歳以上65歳未満)
- 障害者(身体・知的・精神・発達障害者、難病患者)
- 母子家庭の母(シングルマザー)、父子家庭の父
- 就職氷河期世代(35歳〜60歳未満で、正規雇用経験が少ない方)
- 生活保護受給者 など
これらの人材を、会社の戦力として迎え入れる対価として、国から助成金が支給されるのです。
【最重要】ハローワーク等の「紹介状」がないと1円も出ない
特開金の鉄則にして、最大の落とし穴。それが「紹介状」の有無です。本助成金は、ハローワークまたは認可を受けた民間職業紹介事業者等の「紹介」により雇い入れることが絶対条件となります。
1円も出ない「直接採用」のNGパターン
以下のようなケースは、たとえ対象者を雇っても不支給(0円)となります。
- ❌ 知人の紹介:「知り合いの高齢者を雇った」
- ❌ 自社HPからの応募:「ホームページを見て直接応募してきた」
- ❌ 求人広告・チラシ:「新聞折込チラシを見て電話してきた」
- ❌ 「紹介状」をもらう前の採用決定:「面接で採用を決めた後に、後追いでハローワークに行ってもらった」
特に多いのが、4つ目の「順序の間違い」です。正しい手順は、「①ハローワークで紹介状をもらう」→「②面接・選考」→「③採用決定」です。この順番が逆転していると、実地調査等で発覚した際に不支給となります。
「いい人がいたら、まずはハローワークへ登録に行ってもらう」。これを鉄の掟としてください。
受給できない「ブラックリスト」事業主の共通点
ハローワーク経由で採用しても、会社(事業主)自体が助成金をもらえない状態にあるケースがあります。以下の「不支給要件チェックリスト」に1つでも当てはまる場合、申請は却下されます。
【不支給要件チェックリスト】
| チェック項目 | 詳細 |
|---|---|
| □ 会社都合の解雇(リストラ)がある | 雇入れ日の前後6ヶ月間に、解雇や退職勧奨を行っている |
| □ 労働保険料を滞納している | 過去2年度分の労働保険料(労災・雇用保険)を納付していない |
| □ 過去に不正受給の処分を受けている | 2019年4月以降に不正受給をし、不支給決定日から5年を経過していない |
| □ 風俗営業等を行っている | 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業(キャバクラ等)の一部は対象外 |
| □ 過去3年間にその人を雇っていた | 今回雇う対象者が、過去3年以内に自社で働いていたことがある(「出戻り」は対象外) |
特に注意すべきは「解雇」です。たった1名の解雇でも、その前後半年間はあらゆる雇用関係助成金がストップする可能性があります。経営者は「助成金をもらうなら、人を切らない」覚悟が必要です。
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)パンフレット」
参考:厚生労働省「雇用関係助成金共通の要件」
3. 全5コースの支給額・対象者を徹底解説
【章頭の3行まとめ】
- 対象者の属性によって5つのコースに分かれ、支給額は最大240万円(重度障害者等)。
- 2025年新設の「中高年層安定雇用支援コース」は、35歳〜60歳未満の就職氷河期世代が対象。
- 「成長分野等人材確保・育成コース」を使えば、通常の1.5倍(最大360万円)を受給可能。
特定求職者雇用開発助成金には、対象者の属性によって5つのコースが用意されています。どのコースも「ハローワーク等の紹介」が必須である点は共通ですが、支給額や要件が大きく異なります。自社の採用計画にマッチするコースを見つけてください。
全5コース支給額一覧表
| コース名 | 主な対象者 | 支給額(中小企業・週30時間以上) | 支給額(中小企業・短時間労働) | 助成対象期間 |
|---|---|---|---|---|
| ①特定就職困難者コース | 60歳以上・母子家庭の母等 | 60万円 | 40万円 | 1年 |
| 身体・知的障害者 | 120万円 | 80万円 | 2年 | |
| 重度障害者・精神障害者等 | 240万円 | 80万円 | 3年 | |
| ②発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース | 発達障害者・難病患者 | 120万円 | 80万円 | 2年 |
| ③生活保護受給者等雇用開発コース | 生活保護受給者等 | 60万円 | 40万円 | 1年 |
| ④中高年層安定雇用支援コース | 35〜60歳未満(就職氷河期世代等) | 60万円 | 対象外 | 1年 |
| ⑤成長分野等人材確保・育成コース | 上記①②の対象者+訓練・賃上げ実施 | 通常の1.5倍(最大360万円) | – | 2〜3年 |
※短時間労働者とは、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者を指します。
コース1:特定就職困難者コース(王道中の王道)
最も対象範囲が広く、使い勝手が良いのがこのコースです。「60歳以上のシニア」や「母子家庭のお母さん」など、働く意欲が高い層が対象となるため、運送業、建設業、介護、事務職など幅広い業種で活用されています。
対象となる人材
- 60歳以上65歳未満の方
- 母子家庭の母(シングルマザー)、父子家庭の父(児童扶養手当受給者)
- 身体・知的障害者
- 重度障害者(重度身体・知的、45歳以上の障害者、精神障害者)
活用イメージ
- 運送業:62歳のベテラン・ドライバーをフルタイムで採用(→60万円)
- 事務職:子育て中のシングルマザーを週25時間のパートで採用(→40万円)
- 清掃業:精神障害のある方を週30時間で採用し、現場を任せる(→240万円)
コース2:発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書等があれば対象となるコースです。一見わかりにくい「発達障害」や「難病」を抱える方の就職を支援します。特にIT業界やバックオフィス業務など、特性を活かせる分野での採用が増えています。
対象となる人材
- 発達障害者(自閉症、アスペルガー症候群、ADHDなど)
- 難治性疾患患者(パーキンソン病、関節リウマチ、突発性難聴など376疾病)
- ※いずれも障害者手帳を所持していない場合も対象。
支給額
- 短時間労働以外:120万円(2年間)
- 短時間労働:80万円(2年間)
注意点:雇入れから約6ヶ月後に、ハローワーク職員等による職場訪問があります。また、配慮事項(通院への配慮など)の報告が必要です。
コース3:生活保護受給者等雇用開発コース
自治体やハローワークから、就労に向けた支援(就労支援事業など)を3ヶ月以上受けている生活保護受給者等を雇い入れるコースです。
支給額
- 短時間労働以外:60万円
- 短時間労働:40万円
コース4:【2025新設・注目】中高年層安定雇用支援コース
従来の「就職氷河期世代安定雇用実現コース」が改編・拡充され、2025年4月に新設された注目コースです。35歳から59歳までの働き盛りでありながら、不安定な雇用を繰り返してきた層を「正社員」として迎える場合に支給されます。
対象となる人材(以下のすべてに該当)
- 35歳以上60歳未満の方
- 過去5年間で、正規雇用されていた期間が通算1年以下
- 過去1年間に、正規雇用されたことがない
- ハローワーク等で個別支援を受けている
- 正規雇用を希望している
支給額
- 中小企業:60万円(支給対象期間1年、30万円×2回)
重要:このコースは、他のコースと異なり「正規雇用(期間の定めのない雇用)」が必須条件です。パート・アルバイトや有期契約社員としての採用は対象外となるため、注意が必要です。
コース5:成長分野等人材確保・育成コース
未経験者を雇い入れ、社内で育成(訓練)を行うことで、通常よりも高い助成金を受け取れるコースです。「成長分野メニュー」と「人材育成メニュー」がありますが、特に使いやすいのは後者です。
人材育成メニューの要件
- 上記の各コース(特定就職困難者コース等)の対象者を雇い入れること
- 未経験の業務に就かせ、人材開発支援助成金を活用した訓練(OJTやOff-JT)を行うこと
- 3年以内に、雇い入れ時と比べて賃金を5%以上引き上げること
支給額(例)
- 重度障害者等を育成した場合:最大360万円
- 通常(特定就職困難者コース)の240万円から、1.5倍にアップします。
4. ハローワーク任せで不支給になる3つの罠
【章頭の3行まとめ】
- ハローワークの窓口担当者が、自動的に「助成金対象ですよ」と教えてくれるとは限らない。
- 申請書類(オレンジの封筒)が届かない・忘れられるケースが実務で頻発している。
- 申請期限は「支給対象期終了後2ヶ月以内」。1日でも遅れれば絶対に不支給(0円)。
「国(ハローワーク)がやっている制度だから、対象なら向こうから案内してくれるだろう」——もしそう思われているなら、今すぐその考えを捨ててください。
現場の社労士として断言しますが、ハローワークの担当者が全員、助成金に精通しているわけではありません。彼らのミスや連絡漏れがあっても、「期限を過ぎたら不支給(0円)」という責任を取らされるのは、常に会社側(あなた)です。
ここでは、実際に現場で起きている「3つの落とし穴」を暴露します。
落とし穴1:窓口担当者が「対象者」だと教えてくれない
ハローワークの窓口で紹介状をもらう際、担当者が「この人は助成金の対象ですよ」と教えてくれるとは限りません。
例えば、60歳以上の方であれば年齢で気づいてもらえますが、「母子家庭の母(シングルマザー)」のようなケースは、外見からは判断できません。求職者が担当者に家庭の事情を詳しく話していなかったり、担当者の知識が浅かったりすると、「特開金の対象」というスタンプが押されないまま紹介状が発行されてしまうことがあります。
【自衛策】
面接時に応募者へ「母子家庭など、助成金の対象要件に当てはまりますか?」と確認し、もし当てはまるなら、ハローワークの窓口で必ずその旨を申告してもらうように依頼してください。「知らなかった」では済まされません。
落とし穴2:申請書類(オレンジの封筒)が届かないリスク
通常、対象者を雇い入れてから約6ヶ月が経過すると、ハローワークから「支給申請書類一式(通称:オレンジの封筒)」が会社に送られてくる運用になっています。多くの経営者様はこれを待ち、「届いたら申請しよう」と考えています。
しかし、この封筒が届かない(忘れられている)ケースが実務では頻発しています。
社長:「ハローワークから書類が送られてくるんですよね?じゃあ、それを待っていればいいんじゃないですか?」
竹田:「その考えが一番危険なんです。実は、ハローワークから書類が送られてこない、あるいは忘れられているケースが少なくありません。」
社長:「え?でも、それってハローワークのミスですよね?そういう場合は、後から申請できるんじゃないんですか?」
竹田:「残念ながら、それはできないんです。申請期限は法律で厳格に決まっていて、『支給対象期(6ヶ月間)が終わった日の翌日から2ヶ月以内』です。たとえハローワークが送るのを忘れていたとしても、期限を1日でも過ぎれば絶対に不支給(0円)となります。『ハローワークが忘れていた』という理由は、免罪符にはならないんです。だからこそ、自社でカレンダーに『入社日から6ヶ月後』の日付を赤丸で囲み、その日が来たら自分から『申請用紙をください』と連絡する体制が必要なんですよ。」
落とし穴3:申請期限「2ヶ月」のデッドライン管理
この助成金の申請期間は、「支給対象期(6ヶ月間)が終わった日の翌日から2ヶ月以内」と法律で厳格に決まっています。
もし、「オレンジの封筒が届くのを待っていたら、期限まであと数日しかなかった(あるいは過ぎていた)」という場合でも、1日でも遅れれば絶対に不支給(0円)となります。
【期限管理の具体例】
例:4月1日に中小企業事業主が60歳以上の方を雇い入れた場合
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 4月1日 | 雇入れ日 |
| 4月16日 | 起算日(賃金締切日の翌日) |
| 4月16日〜10月15日 | 【第1期:6か月】支給対象期間 |
| 10月16日〜12月15日 | 【第1期支給申請期間:2か月】この期間内に必ず申請すること |
| 10月16日〜4月15日 | 【第2期:6か月】支給対象期間 |
| 4月16日〜6月15日 | 【第2期支給申請期間:2か月】 |
ハローワークを信じて待っていてはいけません。自社でカレンダーに赤丸をつけ、「いつ申請すべきか」を管理する必要があります。
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金 支給申請の手引き」
5. 申請から受給までの鉄壁ロードマップ
【章頭の3行まとめ】
- 採用から最初の入金まで最短でも約8ヶ月〜1年かかる。一つでも手順を間違えれば不支給。
- 紹介状をもらう前に採用を決めるのはNG。必ず「求人→紹介状→面接→採用」の順番を守る。
- 第1期支給申請は「雇入れから6ヶ月後の翌日から2ヶ月以内」。自社でカレンダー管理が必須。
「知らなかった」「うっかりしていた」で済まされないのが助成金の世界です。特に特定求職者雇用開発助成金は、採用から最初の入金まで最短でも約8ヶ月〜1年という長い期間がかかります。この間、一つでも手順を間違えれば、その時点でゲームオーバー(不支給)です。
確実に受給するための4つのステップを解説します。
申請から受給までの全体フロー
【Step 1】ハローワークへ求人申し込み
↓
窓口で「助成金対象の方を積極採用したい」と伝える
↓
【Step 2】紹介状の受領
↓
求職者がハローワークで紹介状を取得
※この順番が逆だと不支給
↓
【Step 3】面接・採用決定
↓
紹介状を確認してから面接
↓
【Step 4】雇用契約の締結
↓
労働条件通知書を作成・交付
週20時間以上の雇用保険加入が必須
↓
【雇入れ日】
↓
6ヶ月間継続雇用
↓
【第1期支給対象期終了】
↓
翌日から2ヶ月以内に申請
※ここを逃すと不支給
↓
【第1期支給申請】
↓
労働局・ハローワークへ書類提出
↓
【審査・支給決定】
↓
約1〜2ヶ月後
↓
【助成金入金】
↓
※第2期以降も同様の流れを繰り返す
Step 1:求人申し込み(ここがスタート)
まずはハローワーク(または民間の職業紹介事業者など)に求人を申し込みます。
ここで重要なのは、窓口担当者に「助成金の対象となる方を積極的に採用したい」と伝えておくことです。特に「60歳以上のシニア」や「シングルマザー」を歓迎する場合、求人票の備考欄などにその旨を記載できないか相談しましょう。
求職者とハローワーク担当者の双方に「この求人は助成金対象だ」と認識させることが、紹介漏れを防ぐ第一歩です。
【注意】
求人を出さずに、知人や自社サイト経由で応募してきた人を「後からハローワークに登録させる」行為は、助成金の趣旨に反するため認められません。必ず「求人申し込み」が先です。
Step 2:採用・雇用契約(ここでのミスが致命的)
面接を行い、採用を決める段階です。ここで以下の3点を必ず確認してください。
1. 紹介状の受領
面接の時点で、必ずハローワーク発行の「紹介状」を受け取ってください。これが助成金受給の「引換券」となります。紹介状なしでの採用は対象外です。
2. 対象者要件の確認
「過去3年以内に自社(グループ会社含む)で働いたことがないか」を確認してください。再雇用(出戻り)は対象外です。
3. 労働条件通知書の締結
採用が決まったら、速やかに労働条件通知書(雇用契約書)を作成・交付します。ここで「雇用保険に加入する労働条件(週20時間以上など)」になっていることが必須です。
Step 3:第1期支給申請(半年後の手続き)
採用から6ヶ月が経過した時点で、いよいよ最初の申請(第1期)を行います。ここが最大の難所です。以下の期限と書類を厳守してください。
申請期限
支給対象期間(6ヶ月)が終了した日の翌日から2ヶ月以内。
例:4月1日入社 → 9月30日で6ヶ月経過 → 申請期間は10月1日〜11月30日
主な提出書類
- 支給申請書
- 出勤簿(タイムカード):出勤日数が足りているか確認されます
- 賃金台帳:給与がきちんと支払われているか確認されます
- 労働条件通知書:契約内容の証拠として
【自衛策】
前述の通り、ハローワークから申請用紙が届かない場合があります。「入社日から6ヶ月後の日付」をカレンダーに登録し、その日が来たら自らハローワークへ「申請用紙をください」と連絡する体制を整えてください。
Step 4:継続申請(コースによる回数)
この助成金は、一度申請して終わりではありません。コースや対象者によって、半年ごとに2回〜6回に分けて支給されます。
- 60歳以上・母子家庭の母:半年ごとに2回申請(計1年間)
- 重度障害者:半年ごとに6回申請(計3年間)
途中で従業員が退職してしまった場合、その期以降の助成金は支給されません(※支給対象期の途中で離職した場合は、その期分も不支給となります)。
長く働いてもらうための環境づくりこそが、満額受給への近道です。
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金 支給要領」
6. よくある質問とNG事例
最後に、多くの経営者様から寄せられる「こんな場合はどうなる?」という質問と、意外な落とし穴について解説します。申請直前に必ずチェックしてください。
Q1:社長の親族を雇用しても対象になりますか?
A:いいえ、原則として対象外です。
事業主(法人の場合は代表者や取締役)の3親等以内の親族(配偶者、子、孫、親、祖父母、兄弟姉妹、叔父叔母、甥姪など)は、たとえハローワーク経由であっても助成金の対象となりません。
また、同居している親族も原則として対象外となります。
Q2:試用期間中に解雇したらどうなりますか?
A:その対象者分の助成金は不支給となり、会社全体の助成金申請にも影響します。
まず、支給対象期間の途中で対象者が離職した場合、その期以降の助成金は支給されません(支給対象期の途中で離職した場合は、その期の分も不支給となります)。
さらに深刻なのは、それが「会社都合の解雇」であった場合です。この助成金は「雇入れの前後6ヶ月間に解雇をしていないこと」が要件であるため、試用期間中の解雇であっても、今後採用する他の対象者の助成金申請までストップしてしまう(不支給要件に該当する)可能性があります。
注意:試用期間を設けること自体は問題ありませんが、第1期支給申請時(雇入れから6ヶ月後)に試用期間が継続している場合や、試用期間と本採用後で雇用契約が別である場合は、助成対象外となります。
Q3:以前働いていた人を再雇用する場合は?
A:過去3年以内に雇用関係があった場合は対象外です。
「以前働いていたパートさんが戻ってくることになった」というケースはよくありますが、雇入れ日の前日から過去3年間に、その会社(または密接な関係にある関連会社)で雇用・請負・委任の関係にあった場合は、助成金の対象となりません。
「一度辞めて、ハローワークで紹介状をもらって再入社」という形をとっても、実態として「出戻り」であれば否認されます。
Q4:他の助成金と併用できますか?
A:一部の助成金とは併用できません(併給調整)。
例えば、「雇用調整助成金」や「人材開発支援助成金(一部コース)」など、同じ対象者・同じ期間に対して重複して支給申請を行う場合、どちらか一方しか受給できない(または減額される)併給調整が行われることがあります。
一方で、「トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)」など併用可能なものもありますので、申請前に必ず専門家に確認してください。
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金 Q&A」
7. まとめ

この記事では、特定求職者雇用開発助成金について、全5コースの金額や要件、そしてハローワーク任せにするリスクについて解説しました。
最後に、経営者の皆様に強くお伝えしたいのは、「採用活動は、助成金とセットで考える」という習慣です。人手不足の今、採用コストをかけずに人材を確保し、さらに最大240万円もの資金を得られるこの制度を使わない手はありません。
【今日から始める3つの自衛策】
| 自衛策 | 具体的なアクション |
|---|---|
| ① 求人は必ずハローワークへ | 紹介状がないとスタートラインにも立てません。窓口で「助成金対象の方を積極採用したい」と明示する。 |
| ② 面接時に「対象者チェック」を | 母子家庭や障害者手帳の有無など、応募者にヒアリングを行い、対象者であればハローワークで申告してもらう。 |
| ③ 期限管理は自社で | 「オレンジの封筒」を待たず、採用から6ヶ月後の日付をカレンダーに登録し、自ら申請書類を取りに行く。 |
しかし、現実には「日々の業務が忙しくて期限管理なんてできない」「書類作成が複雑で自信がない」という声も多く聞きます。もし少しでも不安があれば、申請漏れで数百万円を損する前に、助成金のプロである私たちにご相談ください。
グロウライフ社会保険労務士法人では、貴社の採用計画に合わせた「特定求職者雇用開発助成金」の受給診断を無料で行っております。
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【記事執筆】
グロウライフ社会保険労務士法人
労務コンサルタント 竹田
