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2026.05.16

令和7年改正後も最大80万円受給!キャリアアップ助成金の戦略的活用法

こんにちは。グロウライフ社会保険労務士法人 労務コンサルタントの竹田です。

令和7年4月からキャリアアップ助成金の正社員化コースが大きく改正され、2期目の支給(40万円)が原則として廃止されることになりました。これまで1人あたり最大80万円を受給できていた制度が、基本的には40万円のみとなり、採用・定着コストの負担増が避けられない状況です。しかし例外として、「重点支援対象者」を正社員化する場合に限り、改正後も2期目の助成を受け続けることが可能です。

この記事でわかること

  • 令和7年改正後も2期目の助成(40万円)を受給し、最大80万円を確保する方法
  • 重点支援対象者A・B・Cの具体的な要件と、労働局へ提出する証明書類の準備法
  • 新規学卒者の除外ルールと、対象とするための1年以上経過後の転換スケジュール
  • 人材開発支援助成金との連携により、研修費の助成と重点支援対象者Cを両立する戦略

この記事では、改正後も確実に最大80万円を受給するための戦略と、重点支援対象者の見極め方、必要書類の整備方法、さらに人材開発支援助成金との連携によるキャッシュフロー改善の具体策まで、実務に直結する情報を網羅的に解説します。

目次

令和7年改正後もキャリアアップ助成金で最大80万円を受給する戦略

この章でわかること

  • 令和7年4月以降、2期目の支給(40万円)が原則廃止される制度改正の内容
  • 重点支援対象者を活用し、改正後も2期目の助成を復活させる方法
  • 1人あたり最大80万円を確保し、採用・定着コストを削減する戦略

正社員化コースの「2期目(40万円)」が原則廃止となる制度改正

令和7年4月以降、キャリアアップ助成金の「正社員化コース」において大幅な制度改正が実施されます。これまで、有期雇用労働者を正規雇用へ転換し、定着させることで受給できていた助成金ですが、大きな変更点として「2期目の支給(40万円)」が原則として廃止されることになりました。

従来の制度では、転換後6ヶ月の定着で1期目(40万円)、さらに6ヶ月(計1年)の定着で2期目(40万円)と、1人あたり最大80万円を受給することが可能でした。しかし改正後は、基本的には1期目のみの支給となり、企業が受け取れる助成額が半減してしまうため、採用・定着コストの負担増が懸念されています。

この改正は、正社員化による職場環境の整備を促進しつつ、助成金の適正な活用を図る目的で実施されるものです。企業にとっては、これまで以上に戦略的な助成金活用が求められる局面となります。

2期目の助成を復活させる鍵「重点支援対象者」の活用

原則として2期目の支給が廃止される厳しい改正ですが、特例として2期目を受給し続ける方法が残されています。それが「重点支援対象者」に該当する労働者を正社員化するスキームです。

重点支援対象者とは、正社員としての就業経験が少ない方や、母子・父子家庭の方、派遣労働者、あるいは特定の職業訓練を修了した方などを指します。この要件を満たす労働者を雇い入れ、適切に正規雇用へ転換することで、改正後も従来通り2期目の助成(40万円)を申請することが認められています。

つまり、重点支援対象者を正しく見極め、採用計画に組み込むことが、助成額を最大化するための唯一の鍵となります。自社の採用戦略と助成金制度を連動させることで、改正後も変わらず最大80万円の受給が可能となるのです。

令和7年4月以降の正社員化コース支給額の仕組み(中小企業の場合)

通常の有期雇用労働者を正社員化した場合
1期目のみ支給:40万円(合計40万円)

「重点支援対象者」を正社員化した場合
1期目(40万円)+ 2期目(40万円)支給(合計80万円)

参考:厚生労働省『キャリアアップ助成金』

対象者を正しく見極め、1人あたり最大80万円のキャッシュフロー改善を

重点支援対象者を戦略的に採用・育成し、正社員化することで、1人あたり最大80万円の助成金を受給できます。この満額受給を実現することは、企業にとって非常に大きなキャッシュフロー改善をもたらします。

受給した助成金は、新たな設備投資の原資や、さらなる職場環境の整備に充てることが可能です。例えば、採用コストの削減、定着率の改善、技能の見える化など、企業の成長を支える重要な施策へ再投資することができます。

しかし、重点支援対象者として認められるためには、労働局が定める細かな条件をクリアし、必要な証明書類を揃える必要があります。自社の従業員が対象に該当するかを事前に正しく見極め、漏れなく手続きを進める体制を整えることが重要です。次章以降で、重点支援対象者A・B・Cの具体的な要件と証明方法について詳しく解説します。

「正社員経験が少ない労働者」を救済!重点支援対象者A・Bの要件と証明

この章でわかること

  • 在籍3年以上の有期雇用者、または正社員経験が少ない労働者を対象とする条件A・Bの具体的要件
  • 「過去5年で正社員期間1年以下」など、条件Bにおける厳格な判定基準
  • 労働局への証明方法として使用する「対象者確認票」と、本人申告ベースでの手続きの流れ

条件A・B:在籍3年以上の有期雇用者、または正社員経験が少ない労働者

キャリアアップ助成金で2期目の支給(40万円)を受けるための「重点支援対象者」には、大きく分けて3つのパターン(A・B・C)が存在します。ここでは、条件AとBについて解説します。

条件Aは「雇入れから3年以上の有期雇用労働者」です。長期間にわたり有期雇用契約を更新し続けており、まだ正社員化されていない従業員が該当します。自社で3年以上働き続けている契約社員やパート社員を正社員へ転換することで、重点支援対象者Aの要件を満たすことができます。

条件Bは「雇入れから3年未満で、正社員としての経験が少ない有期雇用労働者」です。直近で採用した従業員であっても、これまでのキャリアにおいて正社員として働く機会に恵まれなかった方を正社員化することで、重点支援の対象として認められます。条件Bは、若年層や非正規雇用が長かった労働者の正規雇用化を促進する目的で設けられています。

「過去5年で正社員期間1年以下」など厳格な対象者Bの定義

条件Bにおける「正社員の経験が少ない」という要件は、明確な基準が設けられています。具体的には、以下の2つの条件を両方とも満たす必要があります。

・申請事業主に雇い入れられた日の前日から起算して、過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下であること ・申請事業主に雇い入れられた日の前日から起算して、過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていないこと

過去5年間の間に、短い期間であっても数回正社員として働いた経験がある場合、その合計期間が1年以下に収まっているかを確認する必要があります。また、直近1年間に正社員として働いていた期間がある場合は、たとえ過去5年間の合計が1年以下であっても、条件Bの対象外となります。

重点支援対象者A・Bの要件まとめ

【条件A】
・雇入れから3年以上の有期雇用労働者

【条件B】
(以下のすべてを満たす雇入れ3年未満の有期雇用労働者)
・過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下
・過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない

参考:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース以外)Q&A

労働局への証明方法「対象者確認票」と本人申告の重要性

条件Bに該当する従業員を見つけた場合、「過去の他社での職歴をどうやって労働局へ証明するのか」という問題が生じます。これについては、労働局が用意している「対象者確認票」という所定の様式を使用します。

対象労働者本人に過去の職歴等に関する質問へ回答してもらい、本人の署名をもらった上で、1期目の支給申請時に提出します。公的な書類で過去の職歴をすべて証明することは難しいため、従業員本人の申告ベースで手続きを進めることになります。

ただし、審査の段階で労働局から対象労働者へ直接電話で確認が入るケースもあるため、事実に基づいた正確な申告を徹底することが重要です。虚偽の申告が発覚した場合、助成金の不支給だけでなく、過去に受給した助成金の返還や、今後の申請が認められなくなる行政調査リスクも生じます。

Q:過去の職歴を証明する書類は、雇用保険の加入履歴などで代用できますか?

A: 雇用保険の加入履歴では、正社員として働いていたかどうかまでは判別できません。対象者確認票による本人申告が基本となります。ただし、労働局の審査で追加資料を求められる場合もあるため、事前に対象者本人と十分に確認しておくことが安全です。

派遣労働者やひとり親も対象に!重点支援対象者Cの要件と必須書類

この章でわかること

  • 派遣労働者や母子・父子家庭の労働者を正社員化する条件Cの具体的要件
  • 派遣労働者の直接雇用で求められる派遣契約書と派遣先管理台帳などの必須書類
  • 母子・父子家庭であることを証明する公的書類の種類と、従業員との円滑な準備方法

条件C:派遣労働者や母子・父子家庭の労働者を正社員化するケース

キャリアアップ助成金で2期目の助成を受けるための「重点支援対象者C」は、雇入れから3年未満の有期雇用労働者のうち、特定の状況にある方を対象としています。

具体的には、「派遣労働者を自社の正規雇用として直接雇用する場合」「母子家庭の母または父子家庭の父を正規雇用へ転換する場合」、そして「人材開発支援助成金の特定の訓練を修了した者を正規雇用へ転換する場合」の3パターンが存在します。これらの労働者を正社員化することで、企業は要件を満たし、採用・定着コストの削減につなげることが可能となります。

条件Cは、特に就業環境の整備が必要な労働者層の正規雇用化を促進する目的で設けられており、企業にとっても社会的な意義と実務的なメリットを両立できる仕組みとなっています。

派遣労働者の直接雇用で求められる派遣契約書と派遣先管理台帳

重点支援対象者Cのパターンのうち、派遣労働者を自社の正社員として直接雇用する場合、対象者が派遣労働者であった事実を客観的に証明する書類が必要です。

具体的には、正社員化する前の「労働者派遣契約書の写し」や、勤務実態などを管理している「派遣先管理台帳の写し」の提出が求められます。これらに加え、派遣期間中における出勤簿や賃金台帳の該当部分も必要となるため、対象となる労働者が自社で派遣として働いていた記録を正確に準備・保管しておくことが不可欠です。

派遣契約が終了する前に直接雇用へ切り替える場合、派遣元企業との契約内容や手続きについても確認が必要です。派遣元との調整が不十分な場合、後から書類の不備が発覚し、助成金申請が通らないリスクもあるため、早めの準備が重要となります。

重点支援対象者Cの該当パターン

主な必要書類(1期目の支給申請時)

派遣労働者の直接雇用

・労働者派遣契約書の写し
・派遣先管理台帳の写し
・直接雇用前の賃金台帳
・出勤簿

母子・父子家庭の労働者の転換

・児童扶養手当の支給に関する書類
・遺族基礎年金に係る国民年金証書 などの公的書類控え

人材開発支援助成金の訓練修了者

・支給決定通知書の写し(第5章にて後述)

参考:厚生労働省『人材開発支援助成金』

母子・父子家庭であることを証明する公的書類の整備

母子家庭の母、または父子家庭の父を重点支援対象者として申請する場合、該当することを示す公的な証明書類の提出が求められます。

具体的には、「児童扶養手当の支給に関する書類」や「遺族基礎年金に係る国民年金証書」など、地方自治体や公的機関が発行する書類の控えが必要です。これらは従業員個人のプライバシーに関わる書類であるため、助成金申請の目的を丁寧に説明し、従業員本人の理解と協力を得た上で無理なく準備を進める配慮が求められます。

特に、児童扶養手当は所得制限があり、受給していない場合もあります。その場合は別の証明書類が必要となるため、事前に労働局や専門家へ確認しながら進めることが安全です。

シナリオ事例:派遣社員を直接雇用して最大80万円を受給したケース

製造業A社では、派遣社員として2年間勤務していた30代男性を、令和7年5月に有期雇用社員として直接雇用しました。その後、6ヶ月間の育成期間を経て正社員へ転換し、重点支援対象者Cとして申請を行いました。派遣契約書や派遣先管理台帳を漏れなく準備していたため、1期目・2期目ともにスムーズに支給決定を受け、合計80万円の助成金を受給。この資金を新規設備投資の原資として活用し、作業時間の短縮とミスの削減につなげることができました。

令和7年改正の罠!「新規学卒者」の除外ルールと対象にするための対策

この章でわかること

  • 雇入れから1年未満の新規学卒者がキャリアアップ助成金の対象外となる改正内容
  • 採用日と雇用日の違いによる特例(4月2日以降採用のケース)の適用条件
  • 1年以上経過した後に正社員化する場合の要件と、必要な申立書などの証明書類

雇入れから1年未満の新規学卒者はキャリアアップ助成金の対象外に

令和7年4月以降、いわゆる「新規学卒者」に対するルールが厳格化されます。これまでのように、本来は正規雇用として雇い入れることができる新規学卒者をあえて有期雇用労働者として雇い入れ、6ヶ月経過後に正社員へ転換して助成金を申請するといったスキームは、助成金の趣旨から外れるとみなされ、原則として支給対象外となります。

具体的には、卒業年度の3月31日までに内定を得て入社した新規学卒者について、雇入れられた日から起算して「1年未満」の期間で正社員転換を行った場合は、助成金の対象となりません。例えば令和7年4月1日に雇用された新規学卒者は、令和8年3月31日までに正社員へ転換しても対象外となってしまいます。

この改正により、新卒採用における助成金活用のハードルが大幅に上がったため、企業は採用スケジュールと助成金申請のタイミングを慎重に設計する必要があります。

採用日と雇用日の違いによる特例(4月2日以降採用のケース)

同じ新卒のタイミングであっても、特例として対象外とならないケースが存在します。例えば、就職先が決まっていない状態で卒業式を迎え、4月2日以降に採用され、5月1日以降から雇用がスタートしたような場合です。

このようなケースでは、助成金の制度上、新規学卒者としての制限を受けず、支給対象となり得ます。とはいえ、通常の4月1日入社の新卒社員についてはこの特例は適用されないため、採用日や雇用開始日のスケジュール管理には十分な注意が必要です。

企業側としては、新卒採用の時期をあえてずらすことで助成金の対象とすることも可能ですが、採用市場の動向や他社との競合も考慮しなければならず、実務的には難しい判断となります。

新規学卒者の対象可否(令和7年4月以降)

令和7年4月1日入社(有期雇用)→ 令和7年10月1日に正社員転換→ 雇入れから1年未満のため対象外

令和7年4月1日入社(有期雇用)→ 令和8年4月1日以降に正社員転換→ 雇入れから1年以上経過しているため対象

令和7年5月1日入社(4月2日以降採用・卒業時未内定)→ 令和7年11月1日に正社員転換→ 特例により対象となる可能性あり

参考:キャリアアップ助成金のご案内(令和8年4月8日)

1年以上経過した後に正社員化する場合の要件と必要な申立書

では、4月1日に入社した通常の新規学卒者は助成金を受給できないのかというと、そうではありません。雇入れ日から起算して「1年以上経過」した後に正社員転換を行う場合は、支給対象となります。

この場合、支給要件を満たしているか確認するため、対象労働者の卒業年月日や、申請事業主に雇い入れられる以前に職歴がないことが分かる応募書類、あるいは従業員本人の署名入り申立書などの提出が別途求められます。ルールに則ったスケジュールと必要書類を正しく管理することが、確実な受給につながります。

1年以上の有期雇用期間を設けることで、企業側は新卒社員をじっくりと育成しながら、助成金の受給要件も満たすことができます。この期間を活用して、職場環境の整備や技能の見える化を進めることが、定着率の改善にもつながります。

Q:新規学卒者を4月1日に採用した場合、どのタイミングで正社員化すれば助成金の対象になりますか?

A: 雇入れ日から1年以上経過した後に正社員転換を行う必要があります。例えば令和7年4月1日に雇用した場合、令和8年4月1日以降に正社員転換を実施すれば対象となります。ただし、卒業年月日や職歴がないことを証明する応募書類、本人署名入りの申立書などの提出が必要です。

人材開発支援助成金との連携で「研修費の助成」と重点支援対象者Cを両立

この章でわかること

  • 有期雇用期間中に特定の訓練を修了させ、重点支援対象者Cの要件を満たす連携手法
  • 対象となる3つの訓練コース(人材育成支援・事業展開等リスキリング・人への投資促進)の内容
  • 研修費用の最大75%助成と賃金助成を獲得し、採用・定着コストを大幅に削減する戦略

有期雇用期間中に特定の訓練を修了し、重点支援対象者Cを満たす手法

キャリアアップ助成金で2期目の受給を可能にする「重点支援対象者C」には、人材開発支援助成金の特定の訓練を修了した労働者が含まれます。この仕組みを活用し、有期雇用期間中に従業員へ研修を受講させ、その後に正規雇用へ転換することで、重点支援対象者Cとしての要件を満たすことが可能です。

これにより、自社の研修にかかる費用負担を抑えつつ、キャリアアップ助成金においても最大80万円(1期目・2期目の合計)を受給できるという、非常にメリットの大きいスキームを構築できます。

この連携手法は、特に中小企業にとって研修費の助成とOJTコストの回収を両立できる強力な戦略となります。従業員のスキルアップを図りながら、助成金を活用して職場環境の整備を進めることができるため、1人あたり売上の向上や作業時間の短縮といった具体的な成果につなげやすくなります。

対象となる3つの訓練コース(人材育成支援・事業展開等リスキリング等)

ただし、どのような研修でもよいわけではなく、対象となる訓練コースは以下の3つに限定されています。

1つ目は、職務に関連する専門知識を学ぶ「人材育成支援コース」。2つ目は、DX推進や新規事業に向けた「事業展開等リスキリング支援コース」。そして3つ目は、定額制(サブスクリプション)の研修などに利用される「人への投資促進コース」です。

これら以外のコースを受講しても、重点支援対象者Cの要件は満たせないため、必ずいずれかに該当する10時間以上のOFF-JT(座学等)を実施する必要があります。

連携対象となる人材開発支援助成金のコース

人材育成支援コース
職務に関連する専門知識・技能の習得を目的とした訓練

事業展開等リスキリング支援コース
新規事業立ち上げやDX推進に向けた知識の習得を目的とした訓練

人への投資促進コース
定額制の受け放題訓練など、継続的な人材育成を目的とした訓練

参考:厚生労働省『人材開発支援助成金』

研修費用の最大75%助成と賃金助成を獲得し、採用・定着コストを削減

この連携スキームの最大の魅力は、「研修費の助成」と「正社員化による助成」を二重で獲得できる点にあります。

例えば、事業展開等リスキリング支援コースを活用して研修を実施した場合、研修にかかった受講経費に対して最大75%の助成が受けられるだけでなく、受講時間に応じた賃金助成(1時間あたり1,000円など)も支給されます。

このように、研修にかかる持ち出し費用を最小限に抑えながら従業員を育成して正社員化することで、企業が抱える「採用・定着コスト」を大幅に削減できます。有期雇用労働者のスキルアップと助成金受給を両立する強力な戦略として、積極的に活用すべき手法です。

受給した助成金は、さらなる設備投資の原資や、管理職の判断基準の統一、記録の整備といった職場環境の整備に充てることで、企業全体のキャッシュフロー改善と生産性向上につなげることができます。

シナリオ事例:事業展開等リスキリング支援コースで研修費と正社員化助成を両取り

IT企業B社では、令和7年6月に採用した契約社員に対し、DX推進に関する20時間の専門研修(受講経費40万円)を実施しました。人材開発支援助成金により経費の75%(30万円)と賃金助成(2万円)を受給。その後、正社員へ転換してキャリアアップ助成金の1期目・2期目で合計80万円を受給しました。総額112万円の助成を活用し、新たなシステム導入の原資として再投資することで、作業時間を20%短縮することに成功しました。

事前チェック廃止の恐怖!対象外研修による「全額不支給リスク」の回避

この章でわかること

  • 計画届の「受理」が「受付」に変わり、事後審査で一括判定される新しい仕組み
  • マナーや意識改革など「職務関連性」の薄い研修が対象外となる具体的な危険性
  • 行政調査リスクを防ぐための、実務的で専門的なカリキュラムの設計方法

計画届の「受理」が「受付」に変わり、事後審査で合否が決まる仕組みへ

令和7年4月から人材開発支援助成金の手続きが簡素化される一方で、重大な落とし穴が存在します。これまで労働局が行っていた計画届に対する事前の「確認」が廃止され、単なる「受付」のみに変更されます。

これにより、計画段階で不備があった場合でも修正の指示がなくなり、研修を受講して費用を支払った後、最後の支給申請時に初めて一括で審査が行われることになります。もしそこで要件を満たしていないと判断された場合、その時点で「不支給」が確定してしまうため、取り返しがつかない事態に陥るリスクが高まっています。

従来は計画届の段階で労働局から指摘を受けることで、事前に修正して対象外となるリスクを回避できました。しかし改正後は、企業側が自己責任で要件を判断しなければならず、専門知識がない状態で進めると未払い残業リスクや行政調査リスクにもつながる危険性があります。

参考:人材開発支援助成を利用しやすくするため令和7年4月1日から制度の見直しを行いました

マナーや意識改革など「職務関連性」の薄い研修は対象外となる危険性

人材開発支援助成金の対象となるには、「職務に直接関連する専門的な訓練」であることが大前提です。したがって、一般的なビジネスマナーや接遇研修、ExcelやWordといったPCの基本操作など、基礎的なスキルに関するものは対象外とみなされる可能性が高くなります。

また、モチベーションアップやコーチングなどの「意識改革」を目的とした研修も対象外と判断されるリスクがあります。これらの研修を実施して不支給となった場合、キャリアアップ助成金の連携要件(重点支援対象者C)も満たせなくなってしまいます。

助成対象外とみなされやすい訓練の具体例

基礎的なスキル・教養
ビジネスマナー研修、接遇研修、Excel・Word等の基本操作など

意識改革・マインドセット
モチベーションアップ、自己啓発、コーチング研修など

コンサルティング要素を含むもの
業務改善指導やコンサルティングがパッケージ化されているもの

参考:人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内

行政調査リスクを防ぐ、実務的で専門的なカリキュラムの設計法

事後審査での全額不支給リスクや、それに伴う行政調査リスクを防ぐためには、計画段階から厳密なカリキュラム設計が求められます。対象外となる要素を排除し、従業員の職務に直結する専門知識や技能の習得に特化した内容を構築してください。

また、研修後のアフターフォローとして業務改善の指導やコンサルティングなどをパッケージ化している場合、訓練とはみなされず全体がアウトになる危険性があるため、明確に切り分ける必要があります。自社で判断が難しい場合は、事前に専門家へ確認しながら進めることが、安全な助成金活用の鉄則です。

カリキュラムを設計する際は、研修の目的・内容・時間配分を明確にし、職務との関連性を証明できる資料(業務分析シートや職務記述書など)を準備しておくことが重要です。これにより、事後審査でも自信を持って説明できる体制を整えることができます。

Q:既存の研修プログラムが助成対象になるかどうか、どうやって判断すればよいですか?

A: まず研修内容が「職務に直接関連する専門的な知識・技能の習得」に該当するかを確認してください。基礎的なスキルや意識改革が主な目的であれば対象外となる可能性が高いです。判断が難しい場合は、計画届提出前に労働局や社会保険労務士などの専門家へ相談することをおすすめします。事後審査で不支給となるリスクを避けるため、事前確認が最も重要です。

転換日の前日までに修了!助成金連携を成功させるスケジュールと計画届一本化

この章でわかること

  • 人材開発支援助成金の計画届は「研修開始1ヶ月前」までに提出する絶対デッドライン
  • 正社員転換日の前日までに訓練を完全に完了させる厳格なタイムリミットの重要性
  • 支給決定通知書の取得と「計画届の一本化」による効率的な申請フローの活用法

人材開発側の計画届は「研修開始1ヶ月前」が絶対デッドライン

人材開発支援助成金を活用して研修を実施する場合、最も注意すべきルールのひとつが「計画届の提出期限」です。研修の初日から起算して、1ヶ月前までに管轄の労働局へ訓練計画の届出を行わなければなりません。

つまり、計画届を提出してから1ヶ月間は待機期間となり、研修をスタートすることができません。申請書類の作成や、対象となるカリキュラムの準備にかかる期間も考慮すると、助成金の活用を決めた段階で、余裕を持った事前のスケジュール調整が不可欠となります。

この1ヶ月のデッドラインを守れなかった場合、研修を実施しても助成金の対象外となり、キャリアアップ助成金との連携も不可能になります。特に、正社員転換のタイミングが決まっている場合は、逆算して計画届の提出時期を厳密に管理する必要があります。

正社員転換日の前日までに訓練を完了させる厳格なタイムリミット

キャリアアップ助成金の「重点支援対象者C」として2期目の助成を受けるためには、有期雇用期間中に指定の研修を受講させる必要があります。ここで絶対に守らなければならないのが、「正社員に転換する日の前日まで」に研修の受講を完全に完了させていることです。

研修の開始から受講終了までの期間が、あらかじめ予定している正社員転換日までに確実に収まるかどうか、厳格なタイムリミットを意識したスケジュール管理が助成金連携の成否を分けます。

例えば、10月1日に正社員転換を予定している場合、研修の最終日は9月30日までに完了していなければなりません。研修期間が予定より長引いた場合や、従業員の欠席により受講時間が不足した場合でも、転換日を延期しない限り要件を満たせなくなるため、スケジュールには十分な余裕を持たせることが重要です。

支給決定通知書の取得と「計画届の一本化」による効率的な申請フロー

キャリアアップ助成金の申請時には、人材開発支援助成金の「支給決定通知書」の写しを添付して、対象となる訓練を修了したことを客観的に証明する必要があります。

なお、手続きの負担を軽減する仕組みとして「計画届の一本化」が用意されています。人材開発支援助成金の「職業訓練実施計画届」を提出する際、指定の欄にキャリアアップに関する必要事項を併記することで、キャリアアップ助成金側の計画届の提出を省略することができます。この制度を活用し、効率的かつミスのない申請フローを構築してください。

計画届の一本化を利用することで、書類作成の手間と提出漏れのリスクを同時に削減できます。ただし、一本化した場合でも、各助成金の支給申請は個別に行う必要があるため、スケジュール管理と必要書類の準備は引き続き重要です。

訓練実施から正社員化、2期目申請までのスケジュールフロー

人材開発支援助成金の計画届提出※条件を満たせばキャリアアップ計画と一本化可能

↓(1ヶ月の待機期間)

研修の受講開始〜完了※必ず「正社員転換日の前日」までに終えること

人材開発支援助成金の支給申請 → 「支給決定通知書」の取得

正社員転換の実施

↓(転換後6ヶ月の定着・賃金支払い)

キャリアアップ助成金(1期目)の支給申請※支給決定通知書等を添付

↓(さらに6ヶ月の定着・賃金支払い)

キャリアアップ助成金(2期目)の支給申請

参考:キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース以外)Q&A 

まとめ

令和7年4月からのキャリアアップ助成金改正により、2期目の支給(40万円)が原則廃止されますが、重点支援対象者を戦略的に活用することで、改正後も最大80万円の受給が可能です。在籍3年以上の有期雇用者や正社員経験が少ない労働者(条件A・B)、派遣労働者や母子・父子家庭の労働者(条件C)など、対象者の要件を正しく見極め、必要な証明書類を漏れなく準備することが満額受給の鍵となります。

さらに、人材開発支援助成金との連携により、研修費の助成とキャリアアップ助成金を二重で獲得し、採用・定着コストを大幅に削減できます。ただし、事前チェックが廃止されたことで対象外研修による全額不支給リスクが高まっているため、職務に直結する専門的なカリキュラム設計と、厳格なスケジュール管理が不可欠です。

今すぐ実行できるアクション

自社の有期雇用労働者が重点支援対象者A・B・Cのいずれに該当するか、過去の職歴や家族構成を含めて確認する

正社員転換のタイミングと人材開発支援助成金の研修スケジュールを逆算し、計画届提出の1ヶ月前デッドラインを厳守する

対象外となりやすい基礎的スキルや意識改革の研修を避け、職務に直結する専門的なカリキュラムを設計する

助成金の要件は複雑で、書類の不備や判断ミスが全額不支給につながるリスクもあります。確実な受給と行政調査リスクの回避のため、専門家のサポートをぜひご活用ください。

グロウライフ社会保険労務士法人では、キャリアアップ助成金と人材開発支援助成金の連携活用について、無料相談を実施しています。お気軽にお問い合わせください。

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    • (1) 当社が利用目的の達成に必要な範囲内において個人情報の取扱いの全部または一部を委託する場合

    • (2) 合併その他の事由による事業の承継に伴って個人情報が提供される場合

    • (3) 当社が広告の最適化のために個人情報を提供する場合

    • (4) 国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、ユーザーの同意を得ることによって当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合

    • (5) その他、個人情報の保護に関する法律その他の法令で認められる場合

    個人情報の取扱いに関する法令その他の規範の遵守

    個人情報を取り扱う上で、個人情報保護法をはじめとする法令や、関連ガイドライン等の国が定める指針、条例、その他の規範を確認し、遵守します。

    個人情報に対する不正アクセス、個人情報の紛失、改ざん、漏洩などがないように「情報セキュリティマネジメントシステム」を社内に構築して運用します。また、個人情報の取扱いを委託する場合は、委託先対する監督を行います。従業者一人ひとりへの教育、日常の点検活動及び内部監査等を通じて、事故の未然防止に努め、問題発生時には原因を究明して是正し、再発防止を行います。

    個人情報の開示、訂正、利用停止への対応

    自己の個人情報についての開示、訂正、利用停止等の請求についての窓口を設置し、ご本人または代理人であることを確認の上で遅滞なく、速やかに対応を行います。

    苦情及び相談への対応

    個人情報の取り扱いに関する苦情、相談等についての窓口を設置し、遅滞なく、速やかに対応を行います。

    その他当社の経営環境、社会情勢の変化や情報技術の進歩等に対応した個人情報保護を実現するため、個人情報保護活動を定期に見直し、継続的な改善に努めます。


    グロウライフ社会保険労務士法人

    〒102-0071

    東京都千代田区富士見1-9-21 谷口ビル4F

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      グロウライフ社会保険労務士法人(以下当社)は、データマーケティングやファンド活動、アカデミー事業を通じて、ご本人や企業様を通じて多くの個人情報を取り扱うことから、個人情報保護の取り組みを推進しています。そのための行動指針として本方針を定め、個人情報保護のためのルール及び管理体制を、情報セキュリティ活動の一部として取り込み、実行、継続を通じてサービスの向上及び社会的責務を果たします。

      適切な個人情報の取得、利用及び提供

      取り扱う個人情報はその利用目的をできるだけ特定の上、ご本人や企業様との間で取り決めた利用目的の範囲で適切に取得し、利用いたします。また次の場合を除き、本人の同意のない第三者への提供はいたしません。

      • (1) 当社が利用目的の達成に必要な範囲内において個人情報の取扱いの全部または一部を委託する場合

      • (2) 合併その他の事由による事業の承継に伴って個人情報が提供される場合

      • (3) 当社が広告の最適化のために個人情報を提供する場合

      • (4) 国の機関もしくは地方公共団体またはその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、ユーザーの同意を得ることによって当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがある場合

      • (5) その他、個人情報の保護に関する法律その他の法令で認められる場合

      個人情報の取扱いに関する法令その他の規範の遵守

      個人情報を取り扱う上で、個人情報保護法をはじめとする法令や、関連ガイドライン等の国が定める指針、条例、その他の規範を確認し、遵守します。

      個人情報に対する不正アクセス、個人情報の紛失、改ざん、漏洩などがないように「情報セキュリティマネジメントシステム」を社内に構築して運用します。また、個人情報の取扱いを委託する場合は、委託先対する監督を行います。従業者一人ひとりへの教育、日常の点検活動及び内部監査等を通じて、事故の未然防止に努め、問題発生時には原因を究明して是正し、再発防止を行います。

      個人情報の開示、訂正、利用停止への対応

      自己の個人情報についての開示、訂正、利用停止等の請求についての窓口を設置し、ご本人または代理人であることを確認の上で遅滞なく、速やかに対応を行います。

      苦情及び相談への対応

      個人情報の取り扱いに関する苦情、相談等についての窓口を設置し、遅滞なく、速やかに対応を行います。

      その他当社の経営環境、社会情勢の変化や情報技術の進歩等に対応した個人情報保護を実現するため、個人情報保護活動を定期に見直し、継続的な改善に努めます。


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