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助成金コラム

助成金のノウハウ

2024.04.01

最大1億円!人材開発支援助成金|事業展開等リスキリング支援コース

こんにちは。

グロウライフ社会保険労務士法人 労務コンサルタントの竹田です。
本記事では、「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース」について、その概要と具体的な活用法について詳しく解説します。

この助成金は、事業主が新たなビジネス領域に進出するための人材育成や、デジタルトランスフォーメーション(DX化)、グリーン・カーボンニュートラル化など、急速に変化する社会情勢に対応するためのリスキリングをサポートするものです。最大で1億円の助成金が支給され、事業主にとって大きな経済的支援となります。

本記事で解説する重要なポイントを以下に紹介します。

1. どのような事業主や労働者が助成金の対象となるのか、詳細な条件を解説します。
2. 助成対象となる訓練や経費、そしてそれらが対象外となる事例を具体的に説明します。
3. 助成金申請の流れやポイント、そしてよくある失敗例とその対策を具体的に紹介します。
4. 助成金の支給金額や限度額、その計算方法について詳しく解説します。

これらの情報を知ることで、助成金の申請を検討している皆様は、より具体的な計画を立て、適切な申請を行うことができます。助成金専門の社労士事務所であるグロウライフが、日々、助成金申請を代行している知見をもとに解説しますので、ぜひ参考にしてください。助成金を活用して、人件費の負担軽減を実現しましょう。

01 人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コースとは

「事業展開等リスキリング支援コース」は新規事業の立ち上げなどに伴い、企業が雇用する労働者に対して、新たな分野で必要な知識やスキルを習得させるための訓練を実施した際に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成する制度です。

1.1 事業展開とは何か

事業展開とは、新たな市場への進出のために、新しい商品の製造や新しい商品やサービスの提供などを通じて行われる戦略です。また、事業や業種を広げることや既存の事業内で製品・商品・サービスの製造方法や提供方法を変更する場合も事業展開の一環と言えます。

1.2 デジタルトランスフォーメーションDX化とは何か

デジタルトランスフォーメーション(DX)化とは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応するためにデジタル技術を活用し、業務効率化などを図ることです。顧客や社会のニーズに基づいて製品やサービス、ビジネスモデルを変革し、業務そのものや組織・プロセス・企業文化などを変革し、競争上の優位性を確立することを指します。

1.3 グリーン・カーボンニュートラル化とは何か

グリーン・カーボンニュートラル化とは、徹底した省エネ、再生可能エネルギーの活用などにより、CO2等の温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを言います。

02 支給対象となる事業主と労働者

人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の、支給対象となる事業主と労働者について解説します。

2.1 対象となる事業主の条件

次に挙げる要件を、すべて満たす必要があります。まず、事前に人材育成を推進するリーダーを選出し、職場内における訓練計画を従業員に周知するなどの対応が求められます。

また、訓練期間中の賃金は、適正に支給しなければならず、訓練が、就業時間外におよんだ場合には、当然、時間外手当を支払う必要があります。

1 雇用保険適用事業所の事業主である
2 労働組合等の意見を参考に、事業内職業能力開発計画およびそれに基づく職業訓練実施計画届を作成し、その計画の内容を従業員に周知している
3 職業能力開発推進者を選任している
4 従業員に職業訓練を受けさせる期間中も、賃金を適正に支払っている
5 助成金の関係書類などを整備し5年間保存する
6 助成金に関係する書類の提出や調査などに協力する
7 事業展開等実施計画を作成する

2.2 対象となる労働者の範囲

以下の要件をすべて満たすことが必要です。対象となる労働者は、雇用保険の被保険者であればよく、正規・非正規といった雇用形態にかかわらず対象となります。

実訓練時間数とは、移動時間など支給対象外となる時間を除いた実質的な時間のことです。ただし、この要件は、通信制や定額制サービスを利用した訓練を除きます。育休中などの場合には、その他の要件もあります。

1 該当事業所の雇用保険被保険者である(訓練実施期間中も含む)
2 職業訓練実施計画届時に提出した「訓練別の対象者一覧」などに記載されている
3 ■通学制や同時双方向型の通信訓練などの場合
訓練受講時間が、実訓練時間数の80%以上である
4 ■eラーニング・通信制や定額制訓練などの場合
・訓練等の受講を修了している(eラーニングや通信制による訓練など)
・定額制訓練を1時間以上受講し修了している(定額制サービスによる訓練)

03 支給対象となる訓練と対象外の訓練事例

人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の、「支給対象となる訓練」と「対象外の訓練事例」について解説します。

3.1 対象となる訓練

「事業展開等リスキリング支援コース」の支給対象となる訓練は、以下の3パターンとなります。

①訓練時間数が10時間以上であること
②OFF-JT(企業の事業活動と区別して行われる訓練)であること
③職務に関連した訓練で、以下のいずれかに該当する訓練であること

1 企業において事業展開を行うにあたり、新たな分野で必要となる専門的な知識および技能の習得をさせるための訓練
2 事業展開は行わないが、事業主において企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション(DX)化やグリーン・カーボンニュートラル化を進めるにあたり、これに関連する業務に従事させる上で必要となる専門的な知識および技能の習得をさせるための訓練

3.2 対象外の訓練の事例

OFF-JTの実施目的・実施方法が次の(表1)および(表2)で掲げるものに該当すると判断される場合は、助成対象となりません。カリキュラム全体のうち一部に含まれる場合も、その時間は助成対象となりませんので、実訓練時間数の算定から除外してください(これらを除外して算定した実訓練時間数が、10時間以上必要です)。

1)表1:OFF-JTのうち助成対象とならない「実施目的」のもの

参考:厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)のご案内(詳細版)

2)表2:OFF-JTのうち助成の対象とならない「実施方法」のもの

04 助成金申請の流れとポイント

人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の、申請手続きの流れとポイントについて解説します。

4.1 「事業展開等リスキリング支援コース」手続きの流れ

事業展開等リスキリング支援コースの申請には、事業内職業能力開発計画の作成や訓練実施計画届の提出、訓練実施と支給申請書の提出など多くの手続きが必要です。

また、各種書類の提出には、期限が決められているケースもあるので、タイムスケジュールをしっかりと把握してから申請にのぞみましょう。

4.2 正社員化でキャリアアップ助成金との併給が可能

人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」と、キャリアアップ助成金「正社員化コース」は併用が可能です。例えば、事業展開に伴う人材育成と同時に、非正規雇用の労働者を正社員化することで、「正社員化コース」との併給が可能となります。

ただし、助成金の申請や手続きには一定の条件や手順がありますので、事前に詳細を確認し、適切な申請を行う必要があります。助成金の活用には一定の費用や労力も必要ですが、その分、企業の成長や発展に大きな影響を与えることも事実です。

人材開発支援助成金とキャリアアップ助成金の併用は、企業にとって大きなメリットがある取り組みです。企業はこれらの助成金を活用することで、人材育成とキャリアアップの両面を同時に進め、持続的な発展を図ることができます。助成金の申請や手続きには注意が必要ですが、その努力が企業の成長につながることを忘れずに、積極的に活用していきましょう。

自社で手続きするのが難しそうであれば、助成金を專門に取り扱う社労士に相談するのがおすすめです。

05 助成金の支給金額と限度額

人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」の、助成額・助成率と支給限度額について解説します。

5.1 助成金の支給金額・助成率

同じ理由(同じ訓練受講、経費、賃金など)で複数の助成制度を利用する場合、併給はできない可能性がありますので、ご注意ください。eラーニングや通信制、定額制サービスなどによる訓練、また育児休業中の方への訓練については、経費の助成のみとなります。

「事業展開等リスキリング支援コース」の助成額・助成率は、以下のようになります。

経費助成 賃金助成:1人1時間当たり
75%(60%) 960円(480円)

※()内は大企業分となります

5.2 助成金の支給限度額

1)経費助成の限度額(1人1訓練当たり)
1人1コース当たりのOFF-JTにかかる助成金の最大額は、下記のとおりです。

規模 10~100時間未満 100~200時間未満 200時間以上
中小企業 30万円 40万円 50万円
経費助成 20万円 25万円 30万円

2)賃金助成の限度額(1人1訓練当たり)
1人1コースあたりの助成時間の上限は1,200時間となります。ただし、専門実践教育訓練を受ける場合は1,600時間を限度とします。

3)支給に関する制限
①訓練等受講回数の制限
助成対象となる訓練については、1人につき1年度で最大3回まで受講できます。

②1事業所の支給額の制限
1事業所が、1年度に受給できる助成額は、最大で1億円です。

06 助成金申請時のよくある失敗例と対策

6.1 訓練の実施目的が要件を満たしていない

前述したような、助成対象とならない「実施目的」「実施方法」と見なされてしまい申請が不支給になってしまうことがあります。

例えば、支給要件をクリアするには、助成対象となるOff-JTを最低でも10時間以上実施する必要がありますが、実施した訓練の一部が助成対象とは認められず、実訓練時間数を削られてしまったことで、結果的に支給要件をクリアできなかった…みたいな失敗は充分にあり得ます。

支給実績のある訓練カリキュラムであれば、このような心配はいりませんが、はじめて助成金を申請する場合は、注意が必要です。

助成対象になるか自信がない場合は、事前に労働局で内容を確認してもらったり、審査段階で一部を削られたとしても要件をクリアできるような構成にしておくなどの対策を講じることをおススメします。

6.2 訓練内容と訓練対象者のミスマッチ

人材開発支援助成金では、「支給実績のある訓練カリキュラム」でも不支給になるケースがありますので、くれぐれもご注意ください。

どのような状況で不支給になってしまいかというと、訓練内容と訓練対象者のミスマッチが起こっている状況です。事業展開等リスキリング支援コースでは、「事業展開」「DX化」などに取り組むための中核人材の育成を目的としていますので、訓練対象者の方が、そういった人材として適切であるかどうかが重要です。

労働局は、職業訓練実施計画届の提出時に添付する雇用契約書(労働条件通知書)などで、状況を判断してきますので、適正な資料を提出するよう注意してください。

07 まとめ

この記事では、「人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース」について詳しく解説しました。あらためて重要なポイントを振り返りましょう。

1. この助成金は、事業主が新たなビジネス領域に進出するための人材育成や、社会情勢の変化に対応するリスキリングを支援します。
2. 対象となる事業主や労働者、そして支給対象となる訓練や経費には特定の条件があります。
3. 助成金申請の流れやポイント、そしてよくある失敗例とその対策を理解することで、スムーズな申請が可能となります。
4. 最大で1億円の助成金が支給され、事業主にとって大きな経済的支援となります。

国からの返済不要のこの助成金を、積極的に活用することで、事業の成長や人材開発をより有効に進めることができます。また、社会の変化に即応し、企業の持続的な発展を目指すことができます。

しかし、人材開発支援助成金の申請は、年々難易度が高まっており、専門家のサポートが不可欠な取り組みとなってきています。グロウライフ社会保険労務士法人では、助成金の無料相談を随時、受け付けておりますので、ぜひ、お困りの方は無料相談を利用して専門家のアドバイスを受けてみてください。

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